健康経営銘柄は、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施している企業の認定制度です。健康経営において優れた企業を選定し、投資家にとって魅力的な企業であると紹介することを通じて健康経営の取組が社会的に促進されることを図っています。東京証券取引所に上場している企業から1業種につき1企業が選出されるのが特徴です。
健康経営とは、従業員の健康への配慮を単なる人事・労務管理と捉えるのではなく、利益をもたらす経営戦略として考え実践することです。
従業員の健康保持・増進によって、
などのメリットがが得られ、かつリスクマネジメントにもつながります。また、過労問題やワークライフバランスなどが注目されている昨今、いかに健康で気持ちよく働ける職場であるかは求職者にとって非常に重要な要素となっています。
労働人口が減少する中で人材を安定的に確保するために、健康経営への取り組みは必須の課題となりつつあるのです。
健康経営に対する注目の高まりを表すものとして、健康経営度調査に回答する企業の増加が挙げられます。
健康経営度調査は、法人の健康経営の取組状況とその経年変化を分析することを目的に経済産業省が実施している調査で、健康経営銘柄の選定にも使用されています。「健康経営の必要性は感じるけれど何から始めれば良いのかわからない」という悩みを持つ企業においては、何をどのように取り組めば良いのかについてのガイドラインとして活用することも可能です。
ご覧の通り、健康経営度調査の回答企業数は年々加速度的に増加しています。2018年度には1,800もの法人が回答しました。おそらく今後も増加傾向は続くでしょう。
ちなみにこの調査、項目数にして70個ものボリュームがあり、決して片手間でこなすことはできません。それにもかかわらず回答企業が増えている点に健康経営への注目度の高さが伺えます。
健康経営優良銘柄に選ばれるには以下の基準をクリアする必要があります。
以上の3つを満たした企業のうち、業種内で最も健康経営度が高い企業が健康経営銘柄として選出されます。業種内で基準をクリアする企業がいない場合、その業種における健康経営銘柄は非選定、該当なしの扱いとなります。
2019年に各業種から健康経営銘柄に選定された企業は以下のとおりです。
2018年までの1業種1社の制限が払われ、28業種37社と多くの企業が選定されました。
参照:http://www.meti.go.jp/press/2018/02/20190221001/20190221001.html
健康経営銘柄とよく似たものに、健康経営優良法人という認定制度があります。
こちらも健康経営に取り組む企業を認定・公表する経済産業省実施の制度ですが、以下のような違いがあります。
総じて、健康経営優良法人は健康経営銘柄よりも認定を受けやすい制度だと言えるでしょう。その一方で、近年ではホワイト企業の証として採用力の強化などに大きな効果が期待されています。すでに大規模法人では500社以上、中小規模法人では700社以上が認定されており、非常に注目されている認定制度なのです。
なお、中小規模法人と大規模法人(ホワイト500)の区分は従業員数で決められます。具体的な人数は以下のとおりです。
健康経営優良法人は、認定の取得を目指す価値の高い制度です。気になる方はぜひチェックしてみてください。