健康経営銘柄とは?
健康経営銘柄は、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施している企業の認定制度です。健康経営において優れた企業を選定し、投資家にとって魅力的な企業であると紹介することを通じて健康経営の取組が社会的に促進されることを図っています。東京証券取引所に上場している企業から1業種につき1企業が選出されるのが特徴です。
健康経営とは?
健康経営とは、従業員の健康への配慮を単なる人事・労務管理と捉えるのではなく、利益をもたらす経営戦略として考え実践することです。
従業員の健康保持・増進によって、
- 生産性の向上
- 離職率の低下
- 企業イメージアップ
などのメリットがが得られ、かつリスクマネジメントにもつながります。また、過労問題やワークライフバランスなどが注目されている昨今、いかに健康で気持ちよく働ける職場であるかは求職者にとって非常に重要な要素となっています。
労働人口が減少する中で人材を安定的に確保するために、健康経営への取り組みは必須の課題となりつつあるのです。
健康経営に取り組む企業は5年で3倍以上に増加
健康経営に対する注目の高まりを表すものとして、健康経営度調査に回答する企業の増加が挙げられます。
健康経営度調査は、法人の健康経営の取組状況とその経年変化を分析することを目的に経済産業省が実施している調査で、健康経営銘柄の選定にも使用されています。「健康経営の必要性は感じるけれど何から始めれば良いのかわからない」という悩みを持つ企業においては、何をどのように取り組めば良いのかについてのガイドラインとして活用することも可能です。
ご覧の通り、健康経営度調査の回答企業数は年々加速度的に増加しています。2018年度には1,800もの法人が回答しました。おそらく今後も増加傾向は続くでしょう。
ちなみにこの調査、項目数にして70個ものボリュームがあり、決して片手間でこなすことはできません。それにもかかわらず回答企業が増えている点に健康経営への注目度の高さが伺えます。
健康経営銘柄の選定基準は?
健康経営優良銘柄に選ばれるには以下の基準をクリアする必要があります。
- 健康経営度調査に回答した企業の上位20%に入ること
- 法令違反の有無や社内の体制づくりなど、定められている健康経営の必須項目を全て満たすこと
- ROE(自己資本利益率)の直近3年間平均が0%以上であること
以上の3つを満たした企業のうち、業種内で最も健康経営度が高い企業が健康経営銘柄として選出されます。業種内で基準をクリアする企業がいない場合、その業種における健康経営銘柄は非選定、該当なしの扱いとなります。
健康経営銘柄2019に選ばれた企業は?
2019年に各業種から健康経営銘柄に選定された企業は以下のとおりです。
2018年までの1業種1社の制限が払われ、28業種37社と多くの企業が選定されました。
健康得経営銘柄2019選定企業
- 水産・農林業 :日本水産株式会社
- 建設業:西松建設株式会社
- 食料品:味の素株式会社
- 繊維製品:株式会社ワコールホールディングス
- パルプ・紙:大王製紙株式会社
- 化学:花王株式会社
- 医薬品:塩野義製薬株式会社
- 石油・石炭製品:JXTGホールディングス株式会社
- ゴム製品:バンドー化学株式会社
- ガラス・土石製品:TOTO株式会社
- 鉄鋼 :JFEホールディングス株式会社
- 非鉄金属:古河電気工業株式会社
- 機械:株式会社ディスコ
- 電気機器:コニカミノルタ株式会社、ブラザー工業株式会社 、オムロン株式会社 、株式会社堀場製作所 、キヤノン株式会社
- 輸送用機器:株式会社デンソー
- 精密機器:テルモ株式会社
- その他製品:株式会社アシックス
- 電気・ガス業:中部電力株式会社
- 陸運業:東京急行電鉄株式会社
- 情報・通信業:ヤフー株式会社 、株式会社KSK 、SCSK株式会社
- 卸売業:キヤノンマーケティングジャパン株式会社
- 小売業:株式会社丸井グループ
- 銀行業:株式会社広島銀行 、株式会社みずほフィナンシャルグループ
- 証券、商品先物取引業:株式会社大和証券グループ本社
- 保険業:SOMPOホールディングス株式会社、MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社、東京海上ホールディングス株式会社
- その他金融業:リコーリース株式会社
- 不動産業:フジ住宅株式会社
- サービス業:株式会社ディー・エヌ・エー
参照:http://www.meti.go.jp/press/2018/02/20190221001/20190221001.html
健康経営銘柄と健康経営優良法人の違いは?
健康経営銘柄とよく似たものに、健康経営優良法人という認定制度があります。
こちらも健康経営に取り組む企業を認定・公表する経済産業省実施の制度ですが、以下のような違いがあります。
- 認定を受けるのに上場企業である必要がない
- 中小規模法人部門と大規模法人部門(ホワイト500)があり、企業規模を問わず認定を受けられる
- 中小企業の場合、健康経営度調査に回答する必要がない
- 大企業の場合、健康経営度調査の回答企業の上位50%以内に入れば良い
- 認定企業数に制限がない(500社しか認定されないわけではない)
総じて、健康経営優良法人は健康経営銘柄よりも認定を受けやすい制度だと言えるでしょう。その一方で、近年ではホワイト企業の証として採用力の強化などに大きな効果が期待されています。すでに大規模法人では500社以上、中小規模法人では700社以上が認定されており、非常に注目されている認定制度なのです。
なお、中小規模法人と大規模法人(ホワイト500)の区分は従業員数で決められます。具体的な人数は以下のとおりです。
健康経営優良法人は、認定の取得を目指す価値の高い制度です。気になる方はぜひチェックしてみてください。