SHEM 非営利一般社団法人安全衛生優良企業マーク推進機構では、国の認定マーク取得・維持コンサルティングおよびサポートを行っています。

「えるぼし認定」 ~女性が活躍できる企業の証~

2023年8月28日:更新
2017年5月29日:作成

女性の働き方改革は企業にとって喫緊の課題となりつつあります。
女性の活躍できる職場づくりに取り組み、国から認定を受けてみませんか?

 

目次
1.えるぼし認定とは?
2.えるぼし認定企業は1年で約2倍に
3.えるぼし創設の経緯
4.えるぼし認定で得られるメリット
5.えるぼし認定を受けるための5つの基準
6.まずはえるぼし認定の無料簡易診断を!

えるぼし認定とは?

えるぼし認定(以下、えるぼし)は、女性の活躍推進に関する状況等が優良な企業を認定する制度で、2016年から認定制度が始まりました。「女性活躍推進法」という法律に基づいて厚生労働省が実施しています。女性活躍推進法とは、女性が活躍しやすい職場や社会を実現するため成立・施行された法律です。

 

えるぼし認定を受けるためには、

  • 採用における男女の競争倍率
  • 管理職の女性比率

など、5つの要件からなる「えるぼし認定基準」を満たす必要があり、認定企業には「えるぼしマーク」が付与され、自社製品やホームページ、求人広告などにつけることができます。

このような点から、えるぼしは女性の活躍を推進する企業として国の認定を受けた証と言い表すことができるのです。

えるぼし認定の取得

えるぼし認定を取得するには一般事業主行動計画の策定・届出のほか、社内周知・社外公表が必要です。女性の活躍推進に関する状況等が優良な企業は、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ申請をし厚生労働大臣の認定を受けることで、認定マークを取得することができます。

ポイント

  • えるぼしは女性の活躍推進企業を証明する厚生労働省のお墨付きである
  • 認定を受けるためには5つの認定基準を満たす必要がある
  • 認定マークは、商品やホームページ、求人広告などにつけることができる

ちなみに「えるぼし」という名前には、

様々な企業や社会の中で活躍し星のように輝く女性への「エール」と、そんな輝く女性が増えていくように

という願いが込められています。

 

えるぼし認定企業は1年で約2倍に

女性活躍推進企業として認定を受け、えるぼしマークを取得する会社は年々増加しています。

認定初年度となる2016年度末には291社だったえるぼし認定企業数は、その翌年には579社にまで増加しました。1年で約2倍にまでえるぼし認定企業が増えた計算になります。その後、2023年7月には約2,300社が認定されており、えるぼしに対する注目が年々高まっていることがうかがえます。

ポイント

  • えるぼし認定企業数は1年で倍増している
  • 企業のえるぼし認定に対する注目は高まりを見せている

 

えるぼし創設の経緯

 

厚生労働省がえるぼしという認定制度まで立ち上げて女性の企業での活躍を支援するには、女性が十分に力を発揮できていないことに大きな理由があります。

少子化による人口減少

 

ご存知のとおり、日本における出生数は減少傾向にあり、30年以上にわたって合計特殊出生率が2を上回った記録がありません。人口の減少は国力の低下に直結する大きな問題です。政府が1億総活躍時代を掲げているように男女問わず働き手の力が必要な時代になっているのです。

働きたくても働けない300万人の女性

参照:http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h26/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-07.html

女性の社会での活躍が望まれる一方、総務省による2013年の調査では、就業を希望しながらも働いていない女性は300万人以上にも上ることがわかりました。そして、働けない理由として最も多いのが「出産・育児」となっています。実際に、第一子出産を機に約5割の女性が離職するなど出産・育児を理由に離職する女性は依然として多いのが現状です。
また、出産・育児後に再就職した場合はパートなどになるケースが多く、女性雇用者における非正規雇用者の割合は6割近くにも達しています。管理的立場にある女性の割合は12.5%(2015年)と、近年緩やかな上昇傾向にあるものの、国際的に見ても低いのが現実です。
我が国では、働く場面において女性の力が十分に発揮できているとはいえない状況にあるのです。

 

法律により女性の活躍推進は企業の義務に

このような問題を受けて、女性の個性と能力が十分に発揮できる社会を実現するため成立・施行されたのが「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」、通称・女性活躍推進法です。
これまで、常用の労働者が301人以上の事業主は「女性の活躍推進に向けた行動計画の策定・届出」が義務づけられていました。2022年度からこの範囲が拡大し、常用の労働者101人以上の事業主も策定・届出の義務が課せられるようになりました。(100人以下の中小企業は努力義務)

 

具体的に下記の3つを行わなければならなくなりました。

  1. 自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析
  2. その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表
  3. 自社の女性の活躍に関する情報の公表

つまり、企業にとって女性の活躍推進は義務となったのです。

ただし現状としては義務を怠っても罰則がありませんので、実質的な強制力は無いも同然です。そこで、社内での女性活躍を推進する計画を策定し、実際に高い水準を満たした企業に対して国のお墨付きを与えることで、産業界における女性の活用を促進させようとしているのです。これがえるぼしが生まれた背景です。

現代の企業は、国と働き手、そして国際社会から女性の働き方に配慮した職場づくりを求められているのです。

ポイント

  • えるぼし創設の大きな理由は社会的な女性の活躍不足
  • 女性の離職は企業にとっても大きな損失となる
  • 法律の制定によって企業の女性活用は義務となった

 

えるぼし認定で得られるメリット

女性が働きやすくキャリアアップ可能な会社づくりを実践し、えるぼし認定を受けることで、企業は3つのメリットを獲得することができます。優秀な人材の確保・採用につながる、企業イメージの向上につながる、様々な優遇措置が受けられるメリットがあります。いずれも企業経営において非常に重要な要素です。

優秀な人材の確保・採用につながる

女性が活躍できる職場づくりを積極的に行うことで、出産や育児による女性離職者が減少し、十分に経験を積んだ優秀な人材を確保できます。また、多くの女性求職者にとって女性が働きやすい職場は就職先を選ぶ際の非常に重要な基準となります。したがって、えるぼしマークの取得は多くの人材に対して強力なアピールとなります。

企業イメージ向上につながる

グローバル化に伴い、男女が平等に活躍できる企業作りは社会的責任という観点でも非常に注目されています。えるぼしマークの取得は、取引先、顧客、地域社会からのイメージアップをもたらすでしょう。

様々な優遇措置が受けられる

えるぼし認定企業は以下の2点について優遇措置を受けることができます。認定への取組みは、資金調達や受注面においても非常に意義のあるものとなるでしょう。

  • 公共調達における加点評価
  • 日本政策金融公庫による低利融資

 

ポイント:えるぼしに認定されるメリット

  • 優秀な人材の確保・採用につながる
  • 企業イメージの向上につながる
  • 融資や公共調達で優遇措置を受けられる

 

えるぼし認定を受けるための5つの基準

えるぼし認定を受けるためには、以下5項目の認定基準(採用、継続就業、労働時間等の働き方、管理職比率、多様なキャリアコース)について一定基準を満たす必要があります。例えば女性の平均勤続年数に関しては男性の7割以上であることや、労働時間に関しては時間外及び休日労働時間が45時間未満であることが要件です。

 えるぼし認定基準

1.採用
男女別の採用における競争倍率(応募者数/採用者数)が同程度であること

2.継続就業
労働期間を定めていない新規学卒者について以下のいずれかを満たすこと
・「女性労働者の平均継続勤務年数÷男性労働者の平均継続勤務年数」が雇用管理区分ごとにそれぞれ0.7以上であること
・「10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された女性労働者の継続雇用割合」÷「10事業年度前及びその前後に採用された男性労働者の継続雇用割合」が雇用管理区分ごとにそれぞれ0.8以上であること

3.労働時間等の働き方
雇用管理区分ごとの労働者の法定時間外労働及び法定休日労働時間の合計時間数の平均が、直近の事業年度の各月ごとに全て45時間未満であること

4.管理職比率
管理職の男女比率について以下のいずれかを満たすこと
・管理職に占める女性労働者の割合が別に定める産業ごとの平均値以上であること
・『直近3事業年度の平均した「課長級より1つ下位の職階にある女性労働者のうち課長級に昇進した女性労働者の割合」』÷『直近3事業年度の平均した「課長級より1つ下位の職階にある男性労働者のうち課長級に昇進した男性労働者の割合」』が0.8以上であること

5.多様なキャリアコース
直近の3事業年度において、以下の項目のうち大企業は2項目以上(非正社員がいる場合は必ずAを含むこと)、中小企業は1項目以上の実績があること
A :女性の非正社員から正社員への転換(派遣社員の場合は直接雇用)
B:女性労働者のキャリアアップに資する雇用管理区分間の転換
C :過去に在籍した女性の正社員としての再雇用
D :おおむね30歳以上の女性の正社員としての採用

達成度合いにより3つの段階がある

えるぼし認定は評価基準の達成度合いによって3段階に分かれています。1段階目(1つ星)・2段階目(2つ星)・3段階目(3つ星)の3種類があり、星の数は女性活躍が進んでいる段階を表します。より高い段階を達成するほど女性の活躍に積極的に取り組む企業の証明となり、また評価の対象となります。
各段階で満たすべき基準は以下のとおりです。

  • 1段階目(1つ星)
    ・5つの基準のうち1~2つの基準を満たし、その実績を厚生労働省のウェブ・サイト女性の活躍推進企業データベースに毎年公表していること。
    ・満たさない基準については、事業主行動計画策定指針に定められた当該基準に関連する取組を実施し、その取組の実施状況について厚生労働省のウェブサイトに公表するとともに、2年以上連続してその実績が改善していること。
  • 2段階目(2つ星)
    ・5つの基準のうち3~4つの基準を満たし、その実績を厚生労働省のウェブサイト女性の活躍推進企業データベースに毎年公表していること。
    ・満たさない基準については、事業主行動計画策定指針に定められた当該基準に関連する取組を実施し、その取組の実施状況について厚生労働省のウェブサイトに公表するとともに、2年以上連続してその実績が改善していること。
  • 3段階目(3つ星)
    ・5つの基準の全てを満たし、その実績を厚生労働省のウェブサイト女性の活躍推進企業データベースに毎年公表していること。

またすべての段階において、以下の基準を満たすことが前提となります。

・事業主行動計画策定指針に則して適切な一般事業主行動計画を定めたこと。
・定めた一般事業主行動計画について、適切に公表及び労働者への周知をしたこと。
・女性活躍推進法及び女性活躍推進法に基づく命令その他関係法令に違反する重大事実がないこと。

 

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