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ホワイト企業化を応援!-SHEM ホワイトHEADLINES 2024年5月

読めばホワイト企業度アップ!毎月注目の人事労務関連記事【法改正】【SHEM人事労務クイズ】【厚労省の最新情報】など、各種取り揃えてお届けします。

Contents
1.【法改正情報】令和6年(2024年)4月からの厚生労働省関係の制度変更 重要事項をチェック
2.【法改正情報】令和6年(2024年)10月からの短時間労働者に対する社会保険の更なる適用拡大③
3.【SHEM人事労務クイズ】タメになる、「SHEM人事労務クイズ」

令和6年(2024年)4月からの厚生労働省関係の制度変更 重要事項をチェック

今年度からの厚生労働省関係の制度変更にはどのようなものがあるのか?企業実務に影響がありそうな事項をチェックしておきましょう。

障害者の法定雇用率の引き上げ【主な対象者:事業主、障害者】

民間企業においては次のように法定雇用率を引き上げる(今後、段階的に引き上げ)。
現行「2.3%」→令和6年(2024年)4月から「2.5%」→令和8年(2026年)7月から「2.7%」

時間外労働の上限規制【主な対象者:旧適用猶予事業・業務に従事する労働者とその使用者】

これまで時間外労働の上限規制が適用猶予されてきた次の事業・業務について、
時間外労働の上限規制を原則として適用する。
 ・工作物の建設の事業
 ・医業に従事する医師
 ・自動車運転の業務
 ・鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業

労働条件明示事項の見直し【主な対象者:すべての使用者と労働者】

無期転換ルールについて、無期転換申込権が発生する契約更新時における労働基準法に基づく労働条件明示事項に、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件を追加するとともに、労働契約関係の明確化について、労働基準法に基づく労働条件明示事項に、就業場所・業務の変更の範囲を追加する。
〈補足〉これに伴い、厚生労働省のモデル労働条件通知書の様式も変更されています。

裁量労働制の改正【主な対象者:裁量労働制適用労働者・導入事業場】

専門業務型裁量労働制における本人同意の導入や、専門業務型裁量労働制・企画業務型裁量労働制における健康・福祉確保措置のメニューの追加といった制度の適正化等に関する改正省令等を施行する。

令和6年(2024年)10月からの短時間労働者に対する社会保険の更なる適用拡大③

令和6年(2024年)10月から、新たに「特定適用事業所」となる事業所では、これまで健康保険・厚生年金保険の被保険者でなかった短時間労働者のうち、次の要件に該当する者も、健康保険・厚生年金保険の被保険者として取り扱う必要があります。
 ・1週間の所定労働時間が20時間以上
 ・月額賃金8万8,000円以上(年収106万円以上)
 ・学生でない
 (勤務期間の要件は、通常の労働者と同様、「2か月を超える見込みがある」ことを適用)
 今回は、特に「1週間の所定労働時間が20時間以上」という要件を掘り下げます。

1週間の所定労働時間が20時間以上とは?一般的に問題となるケースを確認しておきましょう。

○ 所定労働時間が1か月単位で定められている場合
→1か月の所定労働時間を12分の52で除して、1週間の所定労働時間を算出します。「12」は1年間の月数、「52」は1年間の週数を表しています。

1か月の所定労働時間×12=1年間の所定労働時間
→1年の所定労働時間÷52=1週間の所定労働時間

これとは逆に、1週間の所定労働時間を1か月の所定労働時間に換算する場合は、1週間の所定労働時間に12分の52を乗じればよいことになります。
1週間の所定労働時間20時間が、1か月で何時間相当かというと、20時間×52÷12=86.66…で、約87時間となります。

ついでに、少し特殊なケースについても確認しておきましょう。
○ 夏季休暇等のため夏季の特定の月の所定労働時間が例外的に短く定められている場合や、繁忙期間中の特定の月の所定労働時間が例外的に長く定められている場合等
→当該特定の月以外の通常の月の所定労働時間を12分の52で除して、1週間の所定労働時間を算出します。

タメになる、「SHEM人事労務クイズ~今月号の問題~」

毎号「法律は知っているけど、実務ではどう対処すればいい?」「論点が細かいと調べても答えがわからない」「自己流で対応したけど不安…」といったお困りに「ちょっとタメになる」解決のヒントを提供する、人事労務クイズのコーナー。

今回は次のような問題です。

 まもなく出産予定日6週間前となり、産前休業に入る予定の女性労働者がいます。しかし、先日の妊婦健診の結果、帝王切開による出産が決まったという連絡がありました。出産予定日が当初の予定より少し早まることになりますが、法律上の取扱いとして、産前休業の開始日も当初より早めることが必要になるのでしょうか?

答えは次号にて解説します。ぜひお楽しみに!

タメになる、「SHEM人事労務クイズ~前号(2024年4月号)の解説~」

前号Qの気になる解説はこちらです(ぜひバックナンバーをご覧ください)。

2024年4月の回答(前号分)

 賃金は通貨による支払が原則です(労基法24条)。ただし、労働者が同意した場合には、例外として、①銀行口座と②証券総合口座への賃金支払い、昨今の法改正で付け加わった③いわゆるデジタル払があります(労基則7条の2)。
労働者の同意取得のほか、会社は過半数労組(ないときは過半数代表者)と賃金の口座振込に関する協定を締結することとしています(令4・11・28基発1128第4号)。なお、協定の届出は必要ありません。協定例をみると、「会社は従業員の同意を得て、本人の口座に振り込むことができる」という文言を用いるのが一般的です。
裁判例(高松高判昭56・9・22)では、口座払の方法によることの合意は、各労働者と…会社側との間で個々的になされたものであり、口座払の「継続を希望しない労働者の合意の解除」も、個々になされなければならないとしていました。
労働条件の明示事項(労基則5条1項3号)および就業規則の絶対的必要記載事項(労基法89条2号)に、「賃金の支払いの方法」があります。会社が一方的に支払方法を変更することに問題なしとはいえず、あらかじめ、就業規則等において、会社が必要と認めた場合等に、原則どおり現金で支払う旨規定しておくべきでしょう。

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