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人事労務の注目トピックス3月号

CSR(Corporate Social Responsibility):企業の社会的責任について

CSR(Corporate Social Responsibility)は、企業が担う社会的責任を指す言葉です。日本でも多くの企業が様々なCSR活動に積極的に取り組んでいます。

しかし、その概念自体は新しいものではありません。1950年代から取り組まれていました。そして、1990年代後半から「環境経営」への取り組みが取りだたされて以来、更に注目を集めている活動でもあります。

今回は、そのCSRに関する情報をご提供いたします。ぜひ最後までお読みください。

CSR(Corporate Social Responsibility)

CSRで従業員の輝きを引き出す⁉
~企業の社会的責任が従業員のモチベーションに与えるインパクトを探る~

言うまでもなく、企業は営利目的で活動をしています。ですので、「業績up・売上up=従業員のモチベーション」は結びつきやすいですね。しかし、「CSR=従業員のモチベーション」に疑問符がつく方もいらっしゃるかもしれません。「企業の社会的責任が従業員のモチベーション!?」どういうこと?というように。

実は、ここには人間の心理が関与しています。それは、どのような心理なのでしょうか。
次の例を見てください。

例1.
今、あなたの前を通っている方が意図せずハンカチを落としたとします。持ち主はそれに気づいていません。あなたは、そのハンカチをさっと拾って持ち主に返してあげました。持ち主からは「ご親切に、どうもありがとうございます!」と感謝の言葉が。この言葉を聞いてあなたの気持ちもすっと晴れることでしょう。

例2.
あなたの会社の前の歩道の植え込みをある社員の方が雑草取りをしていました。その方の作業でもないのに、不思議に思ったあなたは尋ねます。するとこんな回答があります。「この歩道を通る人に気持ちよく通ってもらいたいんだよな。」

一見、あまり関係のない例に見えますが、実は上記の例は人間の承認欲求を満たす行為になります。例1は、直接相手からあなたの親切を認めてもらうことになります。例2は、「この歩道を通る人の気持ちをよくさせているのは、私の雑草取りのおかげだといいな」と自己尊重の気持ちを満たす行為になります。

ここで、マズローの欲求のピラミッドの説明をさせてください。下記に有名なマズローの欲求ピラミッドがあります。

マズローの欲求のピラミッド

例1や2の行動は、このピラミッドの中の承認欲求を満たします。この欲求が満たされると精神的な欲求が満たされ、満ち足りた気持ちになります。

だんだんと答えが見えてきたのではないでしょうか?
そうです。精神的な欲求である承認欲求が満たされると人間は充填された気持ちになり活力が生まれます。そのような人が集まると社内の雰囲気も自然と活気に満ちたものになります。社内が活気づくとそれぞれのモチベーションも上がるということです。

しかし、気を付けていただきたい点があります。この承認欲求は「内的な欲求」ですので、人から言われてさせられている感じで動いている行動には伴いません。では、どうすればよいのでしょう。それは、上手く「承認欲求」をくすぐってあげればよいのです。

例2の雑草取りでいうと、「実はこの会社は地域の皆さんのおかげで成り立っている。だからせめて社屋の前は気持ちよく通ってもらいたい」と常に社員を教育する。地域の方から雑草取りをしてもらって感謝されたことを伝えるなどです。そうすることで、自分が行っている行動の更に先やその背景への理解が深まります。その理解が深まると「承認欲求」が満たされていきます。

個々の承認欲求は小さいものでもそれらが集まり社内の雰囲気を作ります。そのインパクトは、計り知れません。企業が社会的責任を果たすことで従業員が自己成長を遂げ、共に持続可能な社会へ貢献していくのです。CSRは企業にとってだけでなく、社会全体にとっても良い影響をもたらすのです。

最後に、CSRは企業だけでなく個々の行動にも適用される考え方です。私たち一人ひとりが周りの人や職場環境に気遣い、持続可能な未来を築くためにできることがあります。小さな行動が大きな変化を生む原動力となり得ます。それが、より良い未来に繋がる一歩となるでしょう。

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