読めばホワイト企業度アップ!毎月注目の人事労務関連記事【法改正】【人事労務クイズ】【厚労省の最新情報】など、各種取り揃えてお届けします。
Contents
1.【厚労省の最新情報】厚生労働省から「企業における風しん対策」についてお知らせ
2.【法改正情報】令和6年(2024年)10月からの短時間労働者に対する社会保険の更なる適用拡大
3.【SHEM人事労務クイズ】タメになる、「SHEM人事労務クイズ」
厚生労働省から「企業における風しん対策」についてお知らせ
昭和37~53年度(1962~1978年度)生まれの男性は、過去に公的な風しんの予防接種が行われていなかったため、他の方々よりも風しんにかかる可能性が高いということはご存知でしょうか?
厚生労働省は、その世代の男性を対象者として、風しんの抗体検査と予防接種を無料で受けることができるクーポン券を送付しています。
同省では、このクーポン券を利用した「企業における風しん対策」を推奨しています。
■風しんは感染力が強いため、企業において、従業員が1人でも感染したら、直ちに次のような対応が必要となります。
・突然のお休み、検査対応、保健所の疫学調査への対応
・社内、取引先での感染拡大防止策の検討
・患者周囲の妊婦の有無を確認、妊婦の感染リスクの確認、感染予防策の検討*
*妊娠初期の妊婦に感染させてしまうと、生まれてくる子の目や耳、心臓に障害が起きることがあることから、特に注意が必要とされています。
■予防が最重要ということで、企業に対して、対象者に送付されているクーポン券を利用して、風しんの抗体検査を健診内容に含めることなどが推奨されています。
☆クーポンの利用期限は、令和6年度(2024年度)末(令和7年(2025年)3月31日)までと予定されています。
期限がおおむね1年後に迫っていることから、厚生労働省では、「企業における風しん対策」についても周知を強化しています。
令和6年(2024年)10月からの短時間労働者に対する社会保険の更なる適用拡大
令和6年(2024年)10月から、常時50人を超え100人以下の規模の事業所も「特定適用事業所」とされるため、当該事業所では、これまで健康保険・厚生年金保険の被保険者でなかった短時間労働者のうち、週所定労働時間20時間以上、月額賃金8.8万円以上などの要件を満たす者を、健康保険・厚生年金保険の被保険者として取り扱う必要があります。
この企業規模要件は、どのように判定するのでしょうか?
■51人以上(50人超え)とは、「使用する被保険者の総数が常時50人を超える」ということです。具体的には、次のいずれかの考え方で判定します。
①法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数が常時50人を超えるか否かによって判定します。
②個人事業所の場合は、適用事業所ごとに使用される厚生年金保険の被保険者の総数が常時50人を超えるか否かによって判定します。
〈補足〉このように、特定適用事業所に該当するか判断する際の被保険者とは、適用事業所に使用される「厚生年金保険」の被保険者の総数になります。
※注意点※
・今回の適用拡大の対象となる短時間労働者は、被保険者の総数に含めません。
・「厚生年金保険」の被保険者が対象ですから、70歳以上で健康保険のみ加入しているような方は対象に含めません。
■では、「常時50人を超える」とは、どのような状態を指すのでしょうか。
具体的には次のとおりです。
①法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数が、12か月のうち6か月以上50人を超えることが見込まれる場合を指します。
②個人事業所の場合は、適用事業所ごとに使用される厚生年金保険の被保険者の総数が、12か月のうち6か月以上50人を超えることが見込まれる場合を指します。
タメになる、「SHEM人事労務クイズ~今月号の問題~」
毎号「法律は知っているけど、実務ではどう対処すればいい?」「論点が細かいと調べても答えがわからない」「自己流で対応したけど不安…」といったお困りに「ちょっとタメになる」解決のヒントを提供する、人事労務クイズのコーナー。
今回は次のような質問です。
Q 従業員の入れ替わりもそれなりにあることから、労働条件通知書を電子化することができないかと考えています。現在は、FAXや電子メール、メッセージアプリで送る方法も認められていると聞いたことがありますが、たとえば送信の方法や労働者の出力環境への配慮など、どのような点に注意することが必要なのでしょうか。
タメになる、「SHEM人事労務クイズ~前号(2024年2月号)の解説~」
前号Qの気になる解説はこちらです(ぜひバックナンバーをご覧ください)。
2024年2月の回答(前号分)
A 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者へ一定の労働条件を明示しなければならないとしています(労基法15条)。具体的には、賃金や、始業・終業時刻等の労働時間などに関する事項です(労基則5条1項)。
令和5年(2023年)3月の省令改正により、就業の場所と従事すべき業務について、従来は雇入れ直後の場所と業務を明示すればよいとされていたところ、令和6年(2024年)4月以降は、その変更の範囲も併せて示すことが必要になりました。また、有期契約労働者に関しては、更新の有無と更新の判断基準に加え、通算契約期間や更新回数の上限も、設定がある場合は明示することが必要になります(令5・10・12基発1012第2号)。無期転換権が発生するときには、機会があることと、転換後の労働条件も伝えます。
労働条件を明示するタイミングは、労働契約を結んだ時点とされています。例えば、採用内定の時点で労働契約が成立しているといえるような場合には、同時点で明示することが必要と解されるとしています(菅野和夫「労働法」など)。採用内定時に具体的な就業場所や従事すべき業務等を特定できないときは、就労の開始時における場所・業務等として想定される内容を包括的に示すことで差し支えないとしつつ、できる限り早期に決定するよう努め、決定し次第改めて明示するとともに、明示する時期についても明らかにする措置を実施するのが望ましいとなっています(平29・12・20基監発1220第1号)。
使用者による一方的な労働条件の変更に関して、採用内定時に労働条件を示したものの、その後変更をする場合については、原則として採用内定者の合意を得る必要があるとしています(埼玉労働局「令和5年度採用にあたって」)。本問の場合も同意を得て変更するのがベターでしょう。なお、採用内定者が新規学卒者の場合、変更後の労働条件が当初と大きく異なるなど、採用内定者が同意しがたい内容を提示した結果、やむを得ず内定を辞退するような事例については、内定取消しと扱うべき事例に当たる可能性があり、ハローワークが内定取消し通知書を提出するよう指導する場合があるとしています。職安則35条は、新規学卒者に対する内定取消しをする際、あらかじめ職安等へ通知するとしています。