読めばホワイト企業度アップ!毎月注目の人事労務関連記事【法改正】【SHEM人事労務クイズ】【厚労省の最新情報】など、各種取り揃えてお届けします。
Contents
1.【助成金情報】令和4年度(2022年度)第2次補正予算が成立 雇用関係の助成金の見直しの内容は?
2.【法改正情報】賃金のデジタル払い 令和5年(2023年)4月から可能に
3.【SHEM人事労務クイズ】タメになる、「SHEM人事労務クイズ」
令和4年度第2次補正予算が成立 雇用関係の助成金の見直しの内容は?
令和4年(2022年)12月初旬に、令和4年度(2022年度)第2次補正予算が可決・成立しました。
この補正予算の内容は、一般会計の歳出総額が28兆9,222億円。
厚生労働省関係では、追加額4兆7,858億円(うち一般会計4兆6,137億円)が計上されており、「賃上げ・人材活性化・労働市場強化」雇用・労働総合政策パッケージ等にも7,444億円が投じられることになりました。
たとえば、雇用関係の助成金については、次のような見直しが行われることになりました。
- □企業内における事業展開等に伴う労働者のスキル習得を支援する「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)」の創設
- □「キャリアアップ助成金」による非正規雇用労働者の処遇改善
- □「特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)」を活用した就職困難者の人材育成の推進
- □賃金上昇につながるスキルアップを目的とした在籍型出向を支援する「産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)」の創設
- □賃金上昇を伴う早期再就職を支援する「労働移動支援助成金」の見直し
- □賃金上昇を伴う中高年齢者の中途採用の拡大を支援する「中途採用等支援助成金」の見直し
☆雇用関係の助成金については、令和4年(2022年)12月から雇用調整助成金の特例措置を縮小する(一定の場合を除き、原則的な内容に戻す)こととされ、積極的に物価高の克服、コロナ禍で落ち込んだ経済の再生を目指す方向に舵が切られつつあります。今回はその第一歩といえる見直しが行われました。
賃金のデジタル払い 令和5年(2023年)4月から可能に
令和4年(2022年)11月下旬、いわゆる賃金のデジタル払いを可能とするための「労働基準法施行規則の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第158号)」が公布されました。
施行期日は、令和5年(2023年)4月1日とされています。この改正の概要は、次のとおりです。
―――いわゆる賃金のデジタル払いが可能に 労働基準法施行規則の改正の概要―――
賃金の支払方法については、通貨のほか、労働者の同意を得た場合には、銀行その他の金融機関の預金又は貯金の口座への振込み等によることができることとされています。
キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進む中で、資金移動業者の口座への資金移動を給与受取に活用するニーズも一定程度見られることも踏まえ、この度、使用者が、労働者の同意を得た場合に、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払(いわゆる賃金のデジタル払い)ができることとしました。
資金移動業者の指定要件等については、労働政策審議会労働条件分科会において、公労使の代表に議論いただいた上で、定められました。
資金移動業者の指定に係る一定の要件としては、たとえば次のようなものがあります。
- ①賃金支払に係る口座残高の上限額を100万円以下に設定していること又は100万円を超えた場合でも速やかに100万円以下にするための措置を講じていること。
- ②破綻などにより口座残高の受取が困難となったときに、労働者に口座残高の全額を速やかに弁済することを保証する仕組みを有していること。
- ③労働者の意に反する不正な為替取引その他の当該労働者の責めに帰すことができない理由により口座残高に損失が生じたときに、その損失を補償する仕組みを有していること。
…など
☆賃金のデジタル払いは、賃金の支払・受取の選択肢の1つです。会社側は、希望しない労働者に強制してはなりません。あくまでも、社員の同意を得ることが前提の制度となっています。政府の強い要望で実現したものですが、企業としては、メリットとデメリットを見極める必要があるでしょう。
タメになる、「SHEM人事労務クイズ~今月号の問題~」
毎号「法律は知っているけど、実務ではどう対処すればいい?」「論点が細かいと調べても答えがわからない」「自己流で対応したけど不安…」といったお困りに「ちょっとタメになる」解決のヒントを提供する、人事労務クイズのコーナー。
今回は次のような質問です。
Q 採用活動を進めていたところ、書類選考で不合格になった方から「なぜ自分が不合格なのか?」という問い合わせを受けました。募集等に関して職業安定法をみても規定はなさそうですが、法的に何か示されているのでしょうか?
タメになる、「SHEM人事労務クイズ~前号(2022年12月号)の解説~」
前号Qの気になる解説はこちらです(ぜひバックナンバーをご覧ください)。
2022年12月の回答(前号分)
A 事業主には、パート・有期契約労働者からの相談に応じ、対応するために必要な体制を整備することが義務付けられています(パート・有期法第16条)。必要な体制の整備とは、労働者からの苦情を含めた相談に応じることのできる窓口等の体制を設けることを指します(平31・1・30基発0130第1号)。この相談窓口に関しては、同法第6条における労働条件に関する文書を交付する際、担当者の氏名、役職、部署などを明示する必要があります。
今回の質問のように、各支社に担当者を置かず、本社の人事労務担当者を相談担当者とする場合でも、同条の義務を履行したといえるとされています(石川労働局の解釈)。同法第6条との関係では、労働者が相談窓口に容易にアクセスできる内容を明示する必要があるため、電話番号など連絡先がなければ相談が事実上困難であるときは、担当者氏名などのほかに、連絡先を併記することが求められるとしています。