読めばホワイト企業度アップ!毎月注目の人事労務関連記事【法改正】【SHEM人事労務クイズ】【厚労省の最新情報】など、各種取り揃えてお届けします。
Contents
1.【厚労省の最新情報】令和3年度(2021年度)の監督指導の結果を公表 約74%の事業場で労働基準関係法令違反
2.【厚労省の最新情報】企業の対応に「副業・兼業に関する情報の公表」を追加
3.【SHEM人事労務クイズ】タメになる、「SHEM人事労務クイズ」
令和3年度(2021年度)の監督指導の結果を公表 約74%の事業場で労働基準関係法令違反
厚生労働省は、令和3年度(2021年度)に長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した監督指導の結果を取りまとめ、監督指導事例とともに公表しました。
本結果から監督指導実施状況のポイントと主な監督指導事例を確認しておきましょう。
●令和3年度(2021年度)の監督指導実施状況のポイント
令和3年(2021年)4月から令和4年(2022年)3月までに、32,025事業場に対し監督指導を実施し、23,686事業場(74.0%)で労働基準関係法令違反が認められた。
<主な法違反>
- ・違法な時間外労働があったもの→10,986事業場(34.3%)
- ・賃金不払残業があったもの→2,652事業場(8.3%)
- ・過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの→6,020事業場(18.8%)
●主な監督指導事例/運送業に対して行われた監督指導の事例
- 1. 各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場に対し、立入調査を実施。
- 2. 労働者12名について、1か月80時間を超える時間外・休日労働(最長:月約183時間)が認められた。36協定を確認したところ、締結当事者である労働者代表を会社が指名しており、民主的な手続により選出されていなかったことから、指導を実施。
- 3. 年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対し、1年以内に5日間以上の年次有給休暇を時季を指定して取得させていなかったことから、指導を実施。
上記の監督指導事例は極端な例かもしれませんが、月80時間を超える時間外・休日労働が常態化している場合、過労死等のリスクが高くなり、また、労働基準法に規定されている時間外労働の上限規制に抵触するおそれもあります。
36協定が適切に締結されていないケースも多く、そのような場合には、法定労働時間を超える労働等に対する免罰の効力すら生じません。
また、年次有給休暇の時季指定義務についても、履行を怠っていると指導の対象となります。
企業が遵守すべき労働基準関係法令のルールは多々あります。違反がないか、定期的にチェックしておく必要があるでしょう。
もしも違法性を網羅的にチェックしたい場合は、弊機構の【ホワイト労務診断】が役立ちます。ご興味ありましたらお問い合わせください。
引用元:厚生労働省「長時間労働が疑われる事業場に対する令和3年度の監督指導結果を公表します」より抜粋
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27109.html
企業の対応に「副業・兼業に関する情報の公表」を追加
「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が、令和4年(2022年)7月に改定され、企業の対応に「副業・兼業に関する情報の公表」が追加されました。ポイントを確認しておきましょう。
●ガイドラインの「企業の対応」に、次のような“望ましい取り組み”を追加
企業は、労働者の多様なキャリア形成を促進する観点から、職業選択に資するよう、次の内容を、自社のホームページ等において公表することが望ましい。
- ①副業・兼業を許容しているか否か
- ②また条件付許容の場合はその条件
<自社のホームページで公表する場合の記載例>
例)副業・兼業について条件を設けず、許容している場合
○弊社では、従業員が副業・兼業を行うことについて、条件を設けることなく、認めています。
例)副業・兼業について条件を設けて、許容している場合
○弊社では、従業員が副業・兼業を行うことについて、原則認めています。ただし、長時間労働の回避をはじめとする安全配慮義務、秘密保持義務、競業避止義務及び誠実義務の履行が困難となる恐れがある場合には、認めていません。
なお、副業・兼業が許容される条件等に変更があった場合には、速やかに自社のホームページ等で情報が更新されることが望まれる。
※ホームページ以外の公表方法としては、例えば、会社案内(冊子)や採用パンフレットが考えられる。
上記の情報の公表については、副業・兼業に対する方向性が明確になっている企業が対象になるといえます。
まだ、方向性が定かでない場合は、副業・兼業を許容するか否か、許容する場合は条件を付けるのか否かなどを取り決め、それに対応した内容になるように就業規則を整備する必要があります。
副業・兼業に関しては、政府が、その普及・促進に力を入れています。企業としては、情報の公表ができるように、方向性を明確にしておきたいところです。
引用元:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年(2022年)7月8日改定版)より
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000962665.pdf
タメになる、「SHEM人事労務クイズ~今月号の問題~」
毎号「法律は知っているけど、実務ではどう対処すればいい?」「論点が細かいと調べても答えがわからない」「自己流で対応したけど不安…」といったお困りに「ちょっとタメになる」解決のヒントを提供する、人事労務クイズのコーナー。
今回は次のような質問です。
Q 当社の従業員から妊娠・出産の申出がありました。当社では育児・介護休業法の定めを上回る育児休業の取得を認めていますが、その場合の雇用保険給付(育児休業給付)は支給されるのでしょうか。
タメになる、「SHEM人事労務クイズ~前号(2022年8月号)の解説~」
前号Qの気になる解説はこちらです(ぜひバックナンバーをご覧ください)。
2022年8月の回答(前号分)
A たとえば、妊娠・出産の申出等に際して会社がすぐ戻って来てほしい等と伝えることは、本当は育休を取得してほしくないのでは、というふうに伝わる可能性があり(厚生労働省「令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A〈令3・11・30時点〉)、育児・介護休業法第10条の不利益取扱いとなる典型例に該当する可能性があります。ただし例外として、指針(平21・12・28厚労省告示509号、改正令3・9・30厚労省告示365号)によれば、労働者の事情やキャリアを考慮して早期の職場復帰を促すことは、制度等の利用が阻害されるものに該当しない、としています。
したがって、早期の職場復帰を促すのであれば、個々の労働者の事情やキャリアを考慮して(それを根拠に)行う必要があります。