読めばホワイト企業度アップ!毎月注目の人事労務関連記事【法改正】【SHEM人事労務クイズ】【厚労省の最新情報】など、各種取り揃えてお届けします。
Contents
1.【厚労省の最新情報】労基法の協定届等の本社一括届出の範囲が拡大
2.【法改正情報】令和6年(2024年)10月からの短時間労働者に対する社会保険の更なる適用拡大②
3.【SHEM人事労務クイズ】タメになる、「SHEM人事労務クイズ」
労基法の協定届等の本社一括届出の範囲が拡大
令和6年(2024年)2月23日から、新たに本社一括届出の対象となった手続は、次の6手続です。
・1か月単位の変形労働時間制に関する協定
・1週間単位の変形労働時間制に関する協定
・事業場外労働に関するみなし労働時間制に関する協定
・専門業務型裁量労働制に関する協定
・企画業務型裁量労働制に関する決議
・企画業務型裁量労働制に関する報告
これらの協定届等は、本来であれば、事業場単位でそれぞれの所在地を管轄する労働基準監督署に届け出る必要がありますが、次の条件を満たす場合には、本社において各事業場の協定届などを一括して本社を管轄する労働基準監督署に届け出ることが可能となりました。
本社一括届出が可能な要件
□ 電子申請による届出であること
□ それぞれの手続について、一定の項目を除き記載内容が同一であること
□ 事業場ごとに記載内容が異なる項目については、厚生労働省HP又はe-Govの申請ページからExcelファイル「一括届出事業場一 覧作成ツール」をダウンロードし、内容を記入して添付すること
※ 36協定届、就業規則届、1年単位の変形労働時間制に関する協定届は、すでに本社一括届出が可能とされています。
令和6年(2024年)10月からの短時間労働者に対する社会保険の更なる適用拡大②
令和6年(2024年)10月から、常時50人を超え100人以下の規模の事業所も「特定適用事業所」とされるため、当該事業所では、これまで健康保険・厚生年金保険の被保険者でなかった短時間労働者のうち、週所定労働時間20時間以上、月額賃金8.8万円以上などの要件を満たす者を、健康保険・厚生年金保険の被保険者として取り扱う必要があります。
その対象となる事業所では、どのような手続が必要となるのでしょうか?
通常、特定適用事業所に該当した場合、日本年金機構の事務センター等へ特定適用事業所該当届を届け出る必要があります(健康保険組合が管掌する健康保険の特定適用事業所該当届については、健康保険組合へ届け出ることになります)。
しかしながら、新たな規模要件に該当し、施行日(令和6年(2024年)10月1日)から特定適用事業所に該当する場合については、次のように取り扱うこととされています。
令和5年(2023年)10月から令和6年(2024年)8月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が6か月以上50人を超えたことが確認できる場合は、日本年金機構において対象の適用事業所を特定適用事業所に該当したものとして扱い、対象の適用事業所に対して「特定適用事業所該当通知書」を送付するため、特定適用事業所該当届の届出は不要です(法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に対して通知書を送付)。
なお、特定適用事業所となったことに伴い、新たに被保険者資格を取得する短時間労働者がいる場合は、各適用事業所がその者に係る被保険者資格取得届を令和6年(2024年)10月7日までに日本年金機構の事務センター等へ届け出る必要があります(健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者資格取得届については、健康保険組合へ届け出ることになります)。
☆ 上記のように特定適用事業所に該当したことについては、手続は不要です。逆にいえば、要件に該当していれば、手続をしなくても、特定適用事業所として取り扱われることになります。しかし、新たに被保険者資格を取得する短時間労働者がいる場合には、被保険者の資格取得に関する手続が必要となります。
タメになる、「SHEM人事労務クイズ~今月号の問題~」
毎号「法律は知っているけど、実務ではどう対処すればいい?」「論点が細かいと調べても答えがわからない」「自己流で対応したけど不安…」といったお困りに「ちょっとタメになる」解決のヒントを提供する、人事労務クイズのコーナー。
今回は次のような問題です。
Q 退職時に備品を返さないまま辞めてしまう従業員がいて困っています。賃金を口座払いでなく、手渡しにすれば出社してくれるのではないかと考えました。賃金規程を確認したところ、賃金を「振込むことができる」という規定になっていました。会社が、現金の直接払を選択して出社を求める方法は可能でしょうか。
答えは次号にて解説します。ぜひお楽しみに!
タメになる、「SHEM人事労務クイズ~前号(2024年3月号)の解説~」
前号Qの気になる解説はこちらです(ぜひバックナンバーをご覧ください)。
2024年3月の回答(前号分)
A 労働契約の締結時には、労働時間などの労働条件を明示しなければなりません(労基法15条)。その方法は、原則書面です(労基則5条4項)。ただし、労働者から希望があれば、電子メール等による方法も、紙へ記録を出力し書面を作成できるものに限り、認められています。
電子メール等には、パソコンや携帯電話端末によるもののほか、SNSのメッセージ機能なども含みます(平31・4「改正労働基準法に関するQ&A」)。PDF等を添付する方法を勧めており、たとえばSNSのメッセージは、紙で出力できれば直接本文に入力する方法も可能ですが、細切れに送信すると印刷時に途切れ、望ましくないとしています(厚労省パンフ)。
出力環境に関しては、出力による書面の作成が労働者の判断に委ねられているとして、個人的な事情によらず、一般的に出力可能な状態であれば要件を満たします。また、労働者の希望の確認は、口頭によるものも含みますが、個別に、かつ明示的に確認するのが望ましいとしています。