SHEM 非営利一般社団法人 安全衛生優良企業マーク推進機構

ホワイト企業化を応援!-SHEM ホワイトHEADLINES 2024年6月

読めばホワイト企業度アップ!毎月注目の人事労務関連記事【法改正】【SHEM人事労務クイズ】【厚労省の最新情報】など、各種取り揃えてお届けします。

Contents
1.【法改正情報】柔軟な働き方へ措置拡充 改正育介法が成立 次世代法は10年延長に
2.【法改正情報】令和6年(2024年)10月からの短時間労働者に対する社会保険の更なる適用拡大④
3.【SHEM人事労務クイズ】タメになる、「SHEM人事労務クイズ」

柔軟な働き方へ措置拡充 改正育介法が成立 次世代法は10年延長に

改正育児介護休業法(以下「育介法」)と改正次世代育成支援対策推進法(以下「次世代法」)が令和6年(2024年)5月24日、参院本会議で可決、成立しました。
改正育介法では、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置を拡充。3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者について、テレワークや短時間勤務制度などの中から複数の措置を事業主が用意し、労働者が1つを選択できる制度が創設されました。
同制度の説明と、利用意向の確認を事業主に義務付けるとともに、介護離職防止の観点からは、介護に直面した労働者に対して支援制度を説明し、意向を聞くよう事業主に義務が課されます。来年3月に有効期限を迎える次世代法は10年間延長されます。

〈改正育介法の要点〉
・子が3歳未満の労働者のテレワークを事業主の努力義務化
・所定外労働の制限(残業免除)の対象となる労働者の範囲を、現行の子が3歳未満から、小学校就学前までに拡大。
・3歳~小学校就学前の時期については①始業時刻などの変更②テレワーク③短時間勤務④新たな休暇の付与―などの措置のなかから、2つ以上を事業主が選択して講じるよう義務付け。
・上記措置を講じるときにはあらかじめ、過半数労組から、過半数労組がない場合には過半数代表者から意見を聴取しなければならない。対象となる労働者に措置の内容を通知し、面談などを通じて利用するかどうかの意向を確認することも義務付け。
・現行法において小学校就学前までの子を対象としている看護休暇は、子の行事などの目的でも利用できるようにするとともに、請求できる期間を小学校3年修了前までに伸ばす。取得事由の拡大に伴い、名称は「子の看護等休暇」に改称。
・男性の育児休業の取得を促進するため、男性育休取得率の公表義務の対象となる事業主の範囲も、現行の「常時雇用労働者数1,000人超」から「300人超」に拡大。
・家族の介護に直面した旨を労働者が申し出た際に、支援制度を個別に周知し、利用意向を確認することを事業主に義務化。
・労働者が40歳に達した時などにおける早期の情報提供の実施や、研修実施など介護休業の申出を行いやすくするための雇用環境の整備を義務化。
・介護に直面した際にテレワークが行えるようにすることを努力義務化。
・介護休暇について、労使協定によって勤続6カ月未満の労働者を除外する仕組みを廃止。

〈改正次世代法の要点〉
・100人超規模の事業主に行動計画の策定を義務付けている次世代法は、令和7年(2025年)3月末で有効期限が切れることから、令和17年(2035年)3月末まで10年間延長。
・行動計画を策定する事業主に対し、育児休業の取得状況に基づく数値目標の設定を義務付け。
なお、改正法のうち、次世代法の有効期間の延長は公布と同時に施行、そのほかは令和7年(2025年)4月から順次施行されます。


令和6年(2024年)10月からの短時間労働者に対する社会保険の更なる適用拡大④

令和6年(2024年)10月から、新たに「特定適用事業所」となる事業所では、これまで健康保険・厚生年金保険の被保険者でなかった短時間労働者のうち、次の要件に該当する者も、健康保険・厚生年金保険の被保険者として取り扱う必要があります。
・1週間の所定労働時間が20時間以上
・月額賃金8万8,000円以上(年収106万円以上)
・学生でない
(勤務期間の要件は、通常の労働者と同様、「2か月を超える見込みがある」ことを適用)

今回は、特に「月額賃金8万8,000円以上」という要件を掘り下げます。

月額賃金8万8,000円以上とは?

○ 月額賃金8万8,000円の算定対象は、基本給及び諸手当で判断します。
ただし、以下の①~④までの賃金は算入されません。
① 臨時に支払われる賃金(結婚手当等)
② 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
③ 時間外労働に対して支払われる賃金、休日労働及び深夜労働に対して支払われる賃金(割増賃金等)
④ 最低賃金において算入しないことを定める賃金(精皆勤手当、通勤手当及び家族手当)

〈補足〉「年収106万円以上」というのは、あくまで8万8,000円を年額に換算した参考の値で、月額賃金が8万8,000円以上であるかないかのみによって、要件を判断することとされています。注意したいのは、ここでいう「月額賃金」は、「標準報酬月額の基礎となる報酬月額」とは、算定方法が異なるという点です。

○ 報酬月額には、労働の対償として経常的かつ実質的に受けるもので被保険者の通常の生計に充てられる全てのものが含まれます。このため、短時間労働者の被保険者資格の取得に当たっての要件(月額賃金が8万8,000円以上)の判定の際に算入しなかった諸手当等も加味して報酬月額を算出します。
たとえば、“通勤手当”については、「月額賃金」には算入しない、「標準報酬月額の基礎となる報酬月額」には算入する、ということになります。
☆ 適用拡大の実施に伴い、新たに被保険者資格を取得する短時間労働者がいる場合、その被保険者資格取得時の「標準報酬月額の基礎となる報酬月額」を算出する際には、「月額賃金」の算出方法と混同しないようにしなければなりません。

タメになる、「SHEM人事労務クイズ~前号(2024年5月号)の解説~」

前号Qの気になる解説はこちらです(ぜひバックナンバーをご覧ください)。
2024年5月の回答(前号分)

A 妊産婦等に対する保護規定として、労基法65条は、産前産後休業を定めています。産前休業は、6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合に取得させる必要があります。出産日は産前休業に含まれ、現実の出産が予定より早ければ短縮、遅ければ延長されます。
産後休業の期間は産後8週間で、請求等によらず取得させることが求められています。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合に、医師が支障がないと認めた業務へ就かせることは差し支えないとしています。
産前休業の6週間の計算については、自然の分娩予定日を基準として計算するものとしています(昭26・4・2婦発113号)。自然の分娩予定日のため、ご質問のように帝王切開となって予定日が早まる場合でも、当初の予定日で計算することになります。
なお、出産とは、妊娠4カ月以上(1カ月は28日として計算)の分娩を指し、生産のみならず死産も含みます(昭23・12・23基発1885号)。
モバイルバージョンを終了