「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等」の改正案が2019年5月29日に成立し、6月5日に公布されました。
この改正により女性活躍推進企業の認定制度「えるぼし」に上位認定「プラチナえるぼし(仮)」が創設される見通しです。
改正内容は以下のとおりです。
①女性活躍の推進(女性活躍推進法)
一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大
これまで、常用の労働者が301人以上の事業主は「女性の活躍推進に向けた行動計画の策定・届出」が義務づけられていました。この範囲が拡大し、常用の労働者101人以上の事業主に策定・届出の義務が課せられるようになります。
女性の職業生活における活躍に関する情報公表の強化及びその履行確保
常用の労働者が301人以上の事業主は「自社の女性の活躍に関する情報公表」が義務となっていました。こちらも範囲が常用の労働者101人以上の事業主まで拡大されます。
また、301人以上の事業主については、現在1項目以上の公表を求めている情報公表項目を
「①職業生活に関する機会の提供に関する実績」、「②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績」
に関する項目に区分し、各区分から1項目以上公表することとなります。さらに、情報公表に関する勧告に従わなかった場合は企業名が公表される可能性があります。
特例認定制度(プラチナえるぼし(仮称))の創設
現在、女性活躍の推進に積極的な企業を認定・顕彰する制度として「えるぼし認定」が設置されています。この上位認定として「プラチナえるぼし(仮)」が創設される予定です。
※えるぼし認定についてはこちら
②ハラスメント対策の強化
今回の改正案では、女性の活躍推進とともにハラスメント対策も盛り込まれました。
国の施策としてハラスメント対策が明確化されるとともに、事業主への責任と対策義務が強化されます。
内容は以下のとおりです。
⑴ 国の施策に「職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決の促進」(ハラスメント対策)を 明記(労働施策総合推進法)
⑵ パワーハラスメント防止対策の法制化(労働施策総合推進法)
① 事業主に対して、パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務(相談体制の整備など)を義務化。あわせて、措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備
② パワーハラスメントに関する労使紛争について、都道府県労働局長による紛争解決援助、紛争調整委員会による 調停の対象とするとともに、措置義務等について履行確保のための規定を整備
⑶ セクシュアルハラスメント等の防止対策の強化(男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法)
① セクシュアルハラスメントなどに起因する問題に関する国・事業主・労働者の責務の明確化
② 労働者が事業主にセクシュアルハラスメントなどの相談をしたこと等を理由とする事業主による不利益取扱いを禁止
※ パワーハラスメント及びいわゆるマタニティハラスメントについても同様の規定を整備
プラチナえるぼしの開始時期は?
今回の改正法の施行日は、交付から1年以内の制令で定める日となっています(一部項目で例外あり)。
改正法の公布日は2019年の6月5日でした。つまり、2020年6月頃までにはプラチナえるぼしの認定が始まると予想されます。
同省実施の「プラチナくるみん」の開始時期を参考にすれば、年度始めとなる4月1日の可能性が濃厚かもしれません。
いずれにせよ、1年以内という短いスパンのため、認定基準などの具体的な情報も短期間で公開されていくことでしょう。
女性活躍推進企業の証「えるぼし認定」は、学生をはじめとした求職者の注目度が非常に高いホワイト企業マークです。
その上位認定についても取得のインパクトと訴求力は非常に大きなものと考えられます。
「採用力を強化したい」「他のえるぼし認定企業に一歩先んじたい」という方は、情報をこまめにチェックしてみてはいかがでしょうか。
参考:女性活躍推進法特集ページ|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html
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