第4回 「過労死等防止のための対策に関する大綱」決まる

「過労死等防止……」傍聴会に参加

先月、2015年7月24日に「過労死等防止のための対策に関する大綱」が閣議決定されました。
2014年11月に「過労死等防止対策推進法」が施行され、その後に組織された「過労死等防止対策協議会」にて、今回の「過労死等防止のための対策に関する大綱」がまとめられました。

私は、この動きを2014年12月に行われた「第一回 過労死等防止対策協議会」からウォッチしており、第四回の傍聴会にわざわざ厚生労働省まで出掛けて、事の一部始終を見てきました。傍聴会には仕事柄ときおり参加しているのですが、その日はマスコミの注目度も高く、ほぼ全てのテレビ局が傍聴に来ていました。当日のレギュレーションでは、会議が始まってからの撮影はNGとなっていたため開始と同時に退出していきましたが、冒頭の部分を撮影したものはしっかり当日のニュースとなっていました。

当日の会議の様子ですが、そもそも「過労死等防止対策推進法」は、議員立法として立ち上がったようで、その背景には過労死で家族を亡くした遺族の方々が議員を通じてここまでの道のりを歩んでこられたということでした。会議では、当事者代表として家族を亡くした遺族の方々、労働者代表として主に組合の方々、使用者代表として主に団体職員など、専門家として弁護士や大学教授の方々、そして厚生労働省の担当者という顔ぶれの中で約2時間行われました。
傍聴会に参加して思うのは、いつもながら座長といわれる進行役の人はとても大変だなと思う次第です。この日も総勢20名以上の方々との論議をわずか2時間でまとめ上げなければならず、それは至難の業でありこの日も20分ほど延長して会議が終了しました。

そんなこともあり、今回の「過労死等防止のための対策に関する大綱」には、ひとかたならぬ思いで結果を見届けていました。
さて、その前に「過労死等防止対策推進法」について簡単に説明しておきたいと思います。まず、「過労死等」の定義について、「過労死等とは、業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害(※)」。となっています。

※引用元:過労死等防止対策推進法について(厚生労働省Webサイト)

また、「過労死等防止啓発月間」を定めていて、「国民の間に広く過労死等を防止することの重要性について自覚を促し、これに対する関心と理解を深めてもらうため」に毎年11月を「過労死等防止啓発月間」とすることになっています。

そして、3年をめどに見直しの必要性がある場合には、見直しを実施していくこととなっています。

「過労死等防止のための対策に関する大綱」の内容

過労死問題の歴史について調べてみると、実は意外と古くなんと1988年に「過労死110番」というものが開設され、当時から社会問題となっていたようです。当時はバブルの頃だったので仕事が忙しく週60時間以上の労働者が男性で4人に1人もいて、過労死が多発しはじめたようです。

ただし、年次有給休暇の取得率に関しては2013年の取得率平均は48.8%であるのに対し、1991年、1992年には現在よりはるかに高い56.1%だったいうデータがあります。ちなみに私は、バブル真っ盛りの1991年に某生命保険会社に入社したのですが、有給休暇は取りやすい環境にあった記憶があります。

さて、本題の大綱の話に戻りますがロードマップを以下のように定めています。

 ・将来的に、過労死等をゼロとすることを目指す
 ・2020年までに「週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下にする」
 ・2020年までに「年次有給休暇取得率を70%以上とする」
 ・2017年までに「メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上とする」

このような取り組みを国は、地方公共団体、企業、労働組合、団体組織、国民がそれぞれに関わって、目標を実行していきたいと言っています。特筆すべきは、啓発活動の一環で学校教育の中でも取り入れていくと述べているところで、労働問題に関する話はお金の話と同様に、若いうちから勉強させ独自の判断基準を持たせることが非常に大切なのではないかと私は考えます。

最後に、「過労死等防止のための対策に関する大綱」の副題として~過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることの出来る社会へ~となっています。きっと永い永い年月がかかることになるでしょうが、このコラムのタイトルである「22世紀はたらきかた改革」の一環として見守っていきたいと思います。

過労死等の防止のための対策に関する大綱(平成27年7月24日閣議決定)の概要(厚生労働省Webサイト)

次回は9月7日(月)更新予定です。