第3回 ついに、ブラック企業第1号か?

「かとく」ってなに?

みなさん、「かとく」をご存知でしょうか? 今回は、前回予告した「安全衛生優良企業公表制度」を詳しくお話ししたいと思っていましたが、先にタイムリーな話題が登場しましたので、そちらを進めたいと思います。

通称「かとく」発足式で訓示する塩崎厚生労働大臣。

出典:厚生労働省Webサイト

ひらがなで「かとく」。ちょっと聞き慣れない言葉ですが、実は略語です。厚生労働省が2015年4月1日に“本気”で過重労働の撲滅に動き出したその部隊の名前「過重労働撲滅特別対策班」、略して「かとく」です。

そこまでやるか、というくらい東京都と大阪府に合計13名の労働基準監督署の人材を活用し、撲滅運動をするということです。

そんな折、7月2日に「かとく」第1号となる書類送検による企業名の公表がニュースとなりました。今回、書類送検により社名が公表されるのは初めてのことですが、その根拠は次のような理由からです。

いわゆるブラック認定基準!?とは

2015年5月18日塩崎厚生労働大臣から、「違法な長時間労働を繰り返している企業に対する指導・公表について」の発表がありました。これは、昨年改正された労働安全衛生優法の一部を適用したもので、大臣から指示、勧告、公表ができるという制度です。

違法な長時間労働を繰り返している企業に対する指導・公表について(厚生労働省Webサイト)

それを適用して「かとく」を作り、上記のいわゆるブラック企業認定基準を決めたのです。そのポイントは以下です。

【本日のポイント】

社名公表の基準はこう変わった。(2015年5月18日)

 今まで、【1】是正勧告 → 【2】書類送検 → 【3】社名公表

 今後、 【1】是正勧告 → 【2】社名公表

ということになるのです。ちなみに、昨年11月に厚生労働省は1カ月間だけ「過重労働解消キャンペーン」を実施しました。その際のデータがあります。重点監督として事前に選び出された長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や、若者の「使い捨て」が疑われる事業場など、労働基準関係法令の違反が疑われた事業場は4,561事業場。それに対して違反が認められたのは、実に3,811事業場と八割以上にものぼったのです。

平成26年度「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果を公表(厚生労働省Webサイト)

従って、上記のポイントで「過重労働解消キャンペーン」を仮に1年間実施した場合に、単純に約3,800事業場×12カ月=45,600事業場が是正勧告ということが予想され、それらは全て、社名公表となるのです。

社名公表は、各都道府県の労働局のサイトへ

さて、この数万事業場におよぶ社名は厚生労働省のサイトではなく、各都道府県の労働局のサイトに掲載されます。いつどこでどこの会社がいわゆるブラック認定されるかを探すのも一苦労かと思いますが、我々SHEMでは、安全衛生優良企業=Wマーク取得企業の掲載と同時に、不名誉にもブラック認定されてしまった企業名も「優ジロウ」というSHEMのページで公表していきます。これは、就活生や求職者、転職を考えている労働者にとって企業を判別するために役立ててもらいたいという趣旨から、そのようなサイトを作り上げていく計画となっています。結局、ABCマートは、現在のところブラックとしての基準には達していないということになり、「優ジロウ」にはまだ1社も掲載されていませんが。

最後となりましたが、いわゆるブラック企業の基準というのは、対象は中小企業を除くとなっておりますが、そもそも労働基準監督署が来なくなったということではありません。「中小企業を隠れ蓑にする」という考えを持つべできはないことは、言うまでもありません。

次回は8月24日(月)更新予定です。